20231222 これクチナシなんだ

樹木のこと

オレンジ色の提灯を上に向けたような果実

現在、ハラの森では写真に掲載したようなオレンジ色の袋、形としては提灯のように腹部分が膨らんだ花をつけている木について紹介します。皆さま、写真を見てすぐお判りになりますか?・・・そう、タイトルにある通り、これクチナシです。今回はクチナシについて考えてみます。

クチナシを意識した理由

以前の記事で何回か取り上げましたが、この木にはよくハチやスズメガなどがやってきます。スズメバチもアシナガバチも好きな木でよく葉にとまっているのを目にしました。。花の蜜というよりは、クチナシの葉を食している虫を目当てに飛来してくるのかもしれません。葉が虫食い的に切り取られている箇所が多数見られます。

クチナシの周りを飛ぶスズメガ。羽を高速で羽ばたかせている姿。


今年はアシナガバチ、昨年はスズメバチに巣食われて難儀して、駆除を考えつつ彼らの行動を観ている中で、このクチナシを意識するようになりました。

クチナシという名

植物図鑑で、クチナシと名前が判って、「へ〜、これクチナシなんだ」という感想でした。まず思ったのが、「クチナシ」というからには、「クチ」である口の部分はどこなの?ということ。歌謡曲で「くちなしの花」という歌があったな、なんてことも想起されました。・・・

ウィキペディアを参照してみれば、名前は果実に注目して付けられているようで、「果実が裂けない」ー裂けるところを口と見立てているー、あるいは「萼(がく)を口に見立て、内部にある種を梨(ナシ)」ー「梨(ナシ)」には、果実がなる木」の意味があるようですー、そしてまた、蛇の別名でもあるクチナワシが、というか蛇ぐらいしか食べない梨ということから、「クチナワナシ」がクチナシに転じた、という説が紹介されています。

いずれにしても、オレンジ色の提灯を上に向けたような果実が注目されている点です。この形状が人々の関心を惹いているということが判ります。本当に不思議な形をしています。

クチナシの詳細

クチナシを樹木として、学問的な項目として述べてみると、

  • クチナシ [ 梔子 ];学名: Gardenia jasminoides
  • アカネ科クチナシ属低木
  • 常緑広葉樹

“jasminoides” とあるのは、「ジャスミンに似た」的な意味だそうです。実際は、分類的にジャスミンはモクセイ科で異なっていて、一般的なジャスミンは、蔓性の草の部類であるので、樹木であるクチナシと系列的関係にあるということではありません。

また、ジャスミンに似て芳香性であることにも共通性を見出しているのかもしれません。ハラの森・管理人でありながらクチナシの香りには気づいていませんでしたが、日本の花で芳香を放つ代表の3例の一つがクチナシだそうです*1。今度の夏の時節の候、匂いを気にしてみます。

*1 花 かぎけん花図鑑 「クチナシ」;「花一覧」
https://www.flower-db.com/ja/flowers/gardenia-jasminoides

花は、ハラの森にあるクチナシは一重咲ですが、バラのような咲き方をする、ーこれを八重咲というー種類のクチナシもあるそうです。

結局のところ、昆虫が好きな木

常緑広葉樹ですから、葉には光沢があって、5月にもなると緑鮮やかで、見ていて「きれいな緑だなぁ」と呟いてしまうほどです。ハチやスズメガがよく飛来するということは、虫がたくさん生息しているのでしょう。スズメガは幼虫の時もこの木の葉を食して生長するというとですから、その幼虫を狙ってハチがやってくるのでしょう。静岡のお茶農家は茶畑の近くにできたスズメバチの巣を歓迎するといったことをラジオで聞いたことがあります。茶葉に付く虫をハチたちが食べてくれるからです。ハチにとっては、葉をたくさん食している幼虫は、ある意味でスムージーを食べているようなものではないでしょうか? 葉緑素いっぱいの健康食あるいは飲料ですね。

クチナシは低木の部類であるので、樹高は大きくなっても胸高ぐらいです。庭にあっても大きくなりすぎることなく管理が容易です。また常緑広葉樹ですから、冬でも光沢ある葉の彩りを冬でも見せてくれます。庭に植栽するのに好条件を備えた木であると思います。じゃ今回はこれにて、ごきげんよう。

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