20240322 スズメバチ対策

生き物たち

はじめに

この週末に、非電化工房で行われる「日本ミツバチ用重箱式養蜂箱」制作のワークショップ(WS)に参加する予定で、養蜂箱制作以外にミツバチのことも学ぶ予定です。併せて、ハラの森の管理人・筆者にとっては、天敵であるスズメバチのことも気になるところです。今回は、筆者のスズメバチのことに関する経験を述べてみます。

日本にいるスズメバチの種類

世界には24種類のスズメハチが棲息していて、日本にはそのうちの7種がいるそうです。ハラの森では、スズメバチに営巣された経験があるので、奴らには敏感になっています。立春も過ぎて暖かくなってくるこの頃、ハチがそろそろ活動を始めると想像すると、庭をこざっぱりしなきゃならんなと思います。

ハラの森の管理人である筆者が述べたいのがキイロスズメバチとオオスズメバチです。前者がハラの森に営巣した種です。駆除業者に訊いたところそう返答があり知りました。後者の種は、昨年と一昨年の10月頃から11月初旬の暖かな日に、体長が5cm前後の猛り狂ったスズメバチがわんさかと飛び回っているところに遭遇しました。近隣に家庭菜園があり、その菜園の縁にあるかつての雑木林の名残的な場所でした。サイズ的に親指のつけ根から指先にかけての大きさと感じられたので、あれはオオスズメバチだと自分的に捉えています。

スズメバチにされて困ること

 

1) 刺される被害

家屋や敷地にスズメバチに巣を作られると、家の住人や近隣の人にとって、刺される機会が増えます。巣を誤って近づいてしまって刺されること以外にも、黒っぽい服飾などを身に着けていると刺される可能性があります。巣から離れた場所であっても、スズメバチの飛翔コース上にいた場合彼らは刺すことがあります。巣を攻撃された時ほどには、強い衝撃を与える刺し方はせずとも、刺されると痩せ我慢をしてやり過ごせる痛さは超えています。筆者の場合、黒い作業手袋を着けていて手の甲を刺されました。刺されると骨の髄に届くような痛さです。痛さに耐えきれずに手袋を外して刺された箇所を見る行動をとったことを憶えています。だんだんと腫れてきて、やがては、しもやけになったように腫れていることが判る感じになりました。

駆除業者に相談した時に、刺される可能性が低い場所であるなら、1年やり過ごすのも一つの方策と言われていましたが、巣から離れた場所にいても刺されるようであるなら、家での生活自体に支障が生じます。で、これを機に駆除をお願いしました。家の前の通りには、幼稚園児や小学生児童が通行することも頻繁で、またハラの森の来訪者を刺す可能性があることも考えると、駆除は必須と判断しました。

 

2) 駆除作業そのものが難事

駆除業者に連絡して巣の除去作業をお願いしました。家屋の外壁から屋根を支える棟木が出張っている箇所に隙間があったらしく、スズメバチはそこから出入りし屋根裏に巣食っていたのです。

作業は、夜20時開始です。駆除業者が予想を立てた天井の一部をずらして屋根裏を露呈させたところ、「うわ〜っ」と驚きの叫びが上がり、作業を開始しました。ハチが狂ったように襲ってきますが、泡の殺虫剤のような液体が振り掛かるとすぐ落ちていきます。バドミントンのラケットも持って、それでハチを打ち落としてもいたか?ここらへんは、ハチ駆除のYoutubeの映像と混同しているかもしれません。

殺虫剤を巣にも掛け、途中30分ぐらいして作業を中止しました。時期が8月であったこと、クーラーがすでに作動しない部屋の天井裏に巣があったこと、作業はまさにサウナの中での活動と同様です。駆除の装備は、宇宙飛行士のそれのようで、装備の中は汗だくです。水分補給しないと脱水状態に陥ってしまうほどです。

後半の作業で、脚立に登り巣を梁から切り出しました。45L大のごみ袋には、取り除いた巣とウジャウジャとしているほどのスズメバチそして幼虫が中でゴソゴソしていました。その袋を手にして部屋から出てきました。作業の終了です。しばらくしてヘルメットと駆除装備を脱いで、駆除業者の方が姿を見せた時には、かなり消耗している様子が見て取れました。作業の費用¥40,000を支払って、今後のTo do を訊いたりしました。業者の方は、1週間後ぐらいに巣が一部残った箇所に、天井をずらして殺虫剤を吹き掛ければ、残党のハチもくたばってしまうと言いました。そう、巣は完全にまるっと駆除されたわけではありませんでしたが、業者の方にとっては作業の終了です。これぐらいで勘弁してくれ、て感じでした。ハラの森の家屋は築50年以上経ってますから、天井板の上には干草が敷かれていたりして、作業に煩わしく割に合わない気持ちを察することができたので、こちらも全撤去をしてくれ、とまでは言えませんでした。

実質的に駆除は続きました。一網打尽とはいかないからです。駆除の際に難を逃れたハチや、駆除した日に巣を留守にしていたハチもいたりします。遠方に出かけ、夜は出先で過ごし翌日に巣に帰るハチもあるとのことです。駆除した翌日、巣の入口の棟木の近くにスズメバチが数匹いました。その巣の入口付近を日々観察していると明らかにハチの数も増えてきました。棟木と壁の隙間から屋根中に入ったり出たりしているハチがいるのが認められました。入口に20匹ぐらいは数えられるようになったので、第二弾の駆除が必要だと判断しました。業者に依頼したとしても請け負いたくないとの態度を見せていたので、自分で行うしか方法はありません。ということで、筆者は、役所の害虫駆除担当の窓口に連絡し赴きました。駆除するために防護服を借りに出かけたのです。家屋にできたスズメバチの巣の駆除については、撤去してくれるサービスは行政は与えてくれない市区町村が多いとは思いますが、業者の紹介や、駆除の装備を貸与してくれるサービスを持っている場合もあります。

ハチ駆除防護服装備:ヘルメットの下にはつなぎの作業着がある。役所で無料で貸与してくれたもの

駆除は難儀しました。8月後半の暑さで汗だくだくで、病み上がりであったこともあり、心臓バクバクでした。天井を開けると、やはり巣が残った部分に50匹ほどのハチがたかっています。殺虫剤をかけることに緊張していました。振り掛けるとワーッと襲いかかってくることを予期したのです。殺虫剤を3本用意し発射の準備をしていると、気がつけば、10匹ほどのハチがカーテンに止まっています。「わっ」て感じです。とにもかくにも彼らにスプレーしました。こちらの気持ちが戦闘的にスイッチが入った感じです。正に”狂ったサル” 状態です。少しの殺虫剤を掛けただけで彼らは落ちます。殺虫剤が威力あることが判ります。脚立に登り、巣に殺虫剤を降り掛けました。掛かったのは落ちてきますが、外に逃げていくものもいました。・・・このようにして、第二陣の駆除を終えました。

3) 駆除の後

第二陣の駆除と時間軸は戻りますが、業者に駆除依頼した翌日の朝、起床して窓を開けると、スズメバチがホバリングして窓際に立つ筆者の顔の間近に寄ってきました。巣の入口が北側で、この窓は南側にあって巣の反対側にあるのにもかかわらずです。ハチとの間には網戸の1枚しかありません。威嚇するように顔の近くから離れようとしませんでした。筆者が彼らの巣を攻撃したことを直観しているのでしょうか。ハチが怒った状態であったのでしょう、羽音も際立っていました。

結局のところ、業者に駆除を依頼した第一陣後、そして自分で行った駆除第二弾後も、外出時に玄関から外に出る時には、多少緊張しました。スズメバチ残党が跋扈していたからです。蚊取り線香を12月近くまで、家屋の3箇所ほどで日中に焚き続けました。彼らが嫌う煙を放つためです。このようにスズメバチのことを意識して生活することは行動に制約がかかってしまいます。晩秋や初冬の暖かい日には彼らはまだ飛んでいます。となると、今日は外での活動、草むしりや剪定は中止ということにしていました。

さいごにー経験から学んだこと

1) 巣を作られそうな時

ハラの森が巣食われたのはキイロスズメバチによってでした。彼らは家の軒下などに営巣したりします。ちなみに、オオスズメバチは土の中に作ります。オオスズメバチは、何と、キイロスズメバチの巣を襲うこともあります。

屋根裏に巣食われる前の4月下旬から5月上旬にかけて、ハラの森の軒下にスズメバチが巣作りを始めようとしていました。巣のぶら下がる軸らしきものを作ったりしたのを取っても、繰り返しやってきては新たに巣作りをしようとしているので、この時は掃除機で吸い込んで駆除しました。この捕獲したスズメバチ、吸引することで掃除機の中をホコリまみれにしても、1週間ぐらい生き続けていました。ものすごい生命力です。

一匹を駆除をしても、他の集団を率いる女王バチや、あるいは大所帯になった巣を引越をするために探索に来ているハチが後続的に機会を狙っているかもしれません。ハチを軒先に見かけた時は家屋の周囲を観察し続けて、見つけたら早めに対処することが必要です。

2) スズメバチに刺されたら

筆者は、この時にスズメバチに刺されたのが2回目でしたが、1回目に刺された時は、病院に行って注射をうってもらいました。2回目も痛みがあって腫れましたが、刺されてから異常に腫れたり、悪寒がするような様子がなかったので病院には行きませんでした。初めて刺されて不安な場合や、動悸がひどくなっているなど、そして複数箇所の被害の場合には病院に行った方がよろしいでしょう。ただ心がけたいことは、「スズメバチに刺された」、ということでパニックに陥る気持ちを抑え、冷静に処置の行動をすることです。不安な場合はとにもかくにも病院の先生に診てもらいましょう。

3) 駆除は早く行う

6月から7月には、棟木周辺にスズメバチが集団的にいるのを認識はしていたのですが、迅速な対処をしなかったことが、今回の惨事となりました。こちらに危害を及ぼすことがなければ、やり過ごしてもいいかなと考えていたのです。この考えは7月上旬まではありえても、8月前後になると、彼らは暑さに勢いづき攻撃的になるように感じました。数も増えてきて周囲を圧倒するようになります。人間の日々の生活域に営巣した場合は、駆除はMustと筆者は考えます。前述したように、駆除後も3〜4ヶ月にわたって行動が制約される可能性があるからです。費用も掛かってきます。駆除業者に支払う作業費用のみならず、蚊取り線香やスズメバチ用の殺虫剤などの出費はかなり嵩みます。できれば掛けたくない出費です。

4) 駆除を頼む時

まずは、お住まいのある市区町村の役所の「害虫駆除課」のような窓口に助言を仰ぎましょう。そこで駆除費用の相場を知ることができます。そして、良識的な業者の団体を紹介してくれたりします。そして、複数の業者に問い合わせて、電話対応などから業者の信頼できるか否かを判断する助けになるはずです。

近隣の緑地が開発され、集合住宅が造成されている状況を散見します。首都圏そしてその衛星都市ではスズメバチだけでなく、ハチ全体そして他の昆虫の棲息地が日々減っています。ハチも仕方なく、人間の生活空間に侵入しているとも言えそうです。

キイロスズメバチの場合で話をしますと、最初の巣を女王バチが作る時期になってきました。女王バチは春になると小規模の巣を創作しますが、働きバチがある程度育って100匹ほどになると、巣が手狭になり50〜200mぐらいの範囲のところに都合いい場所に引越をするそうです*1。神経質にならずに自分の環境を観察する姿勢を持ちたいものです。長くなりました。今回はこのぐらいで、ごきげんよう。

*1 著者:平林浩、編集:齋藤則教、田上正子
『スズメバチの生き方はこんなにおもしろい!』、印刷・製本:山猫印刷所、2019年発行

コメント

タイトルとURLをコピーしました