20230801 フジーつる性木本

樹木のこと

つる性木本?

本日取り挙げる話題は、フジ、藤の木、です。

実は、「藤の木」と書いたところで、あれ、藤は樹木の部類なのだろうか?、と疑問が生じました。近隣に在る樹木に絡みつき、螺旋的に巻き付いているのを解きますと、地面にだらっとする様は、草っぽい感じがします。後述しますが、「つる性木本」と識別されているようです。

「木本」という語を、今回、初めて意識しました。最初、”…きもと” とググって見たりしましたが、人の名前としてヒットしますが、「木本類」という項目がいくつか下にあり、「もくほん」という読みとなっていました。管理人が持つ電子辞書に入っている、ブリタニカ国際大事典によりますと、茎部が木化して多年生の植物、ということです。対義語が「草本」ともありました。で、それは、草本では、茎の部分が木化せず、柔らかいままで、概ね一年で枯れる、とあります。ということで、植物を、木類と草類とを識別する用語、それが「木本類」と「草本類」というわけです。

このフジ、「つる性木本」です。樹木の方に分類されています。この木的な側面については、同じ蔓性植物という側面では、同様の、ヤブ枯らしと比較すると、解りやすいかも知れません。ヤブ枯らしは、地面から草的な茎が出て、全体的に草的でありますが、確かにフジの方は、木的な硬い茎の部分を持っています。

フジは植木手入れの指標

ハラの森の樹木の手入れをしている管理人にとって、蔓性植物が近隣の樹木を覆って目立ってくると、植木の手入れをしなくては、という気持ちにスィッチが入ります。樹木がある空間に、野放図感といいますか、鬱蒼とした感を醸してきます。管理人は、かっちりときれいに刈り込まれた植え込みや下草で演出される空間は、”人工的”という感が強くしてしまいますが、一方で、草木がケンカ的に繁茂を競うという状態も好ましいとは思えません。何と言いますか、風通しがよい空間に惹かれますし、そういう空間を創出したいと考えてはいますが、これをすることは、時間と労力が掛かること掛かること。ということで、藤の様相は、樹木の手入れをする指標になっています。

フジの素性

フジを、先日購入した、林将之著『葉で見わける樹木』*1で調べてみます。

  • 和名:フジ [ 藤 ] , 別名 [ 野田藤 ]; 学名:Wisteria floribunda
  • 特性:マメ科フジ属、つる性木本。ツルは左上に巻き、樹高10m以上の高木にも登る。身近な山野から山地まで、普通に生える。
  • 分布;本州〜九州
  • 葉の形態:羽状複葉ー「日本のつる植物の代表種で、羽状複葉のつるを見かけたらフジ類と思ってよい。」
  • 用途:つるをリースや細工物として利用

*1 林将之著『葉で見わける樹木』 増補改訂版 、2010年、小学館

複葉であるフジ

今回フジを取り挙げようと思ったのは、葉の形態が「羽状複葉」であることが一つの理由です。以前に紹介した楠(くすのき)やトベラは、葉は「単葉」でした。樹木の葉を想像した場合、頭に浮かぶのは単葉でないでしょうか。「複葉」を想像して、管理人の場合、具体的にそれを持つ植物の名前を挙げることができませんでした。

こうした疑問が頭の片隅にありつつ、ハラの森の周囲のゴミ拾いをしていて、目に入ってきたのがフジでした。何ヶ月か前に木に絡みついていたフジを取り払ったのが、また出てきて、近くの椿に絡みつこうとしていました。その時です、「あれっ、これが複葉ではないのか?」と前掲の林先生の著書で調べてみたのです。予想は、当たっていました。

複葉のイメージは、単葉を小分けにした感じです。管理人の理解は、単葉の側脈が発達して1枚の葉になる、という感じです。

◯複葉の概念

そして、「葉のつき方」は、互い違いなる「互生」か、向かい合っている「対生」どちらに分類するのか、検討がつきますか? 掲載した写真を見てみると、以下に示すイラスト図のようになっている箇所が認められますので、「互生」の分類になります。小葉の集まりを1枚の単葉のようにして考えるからですね。

◯複葉のつき方

写真では緑の茎が見えています。この茎ーいや蔓と言うべきかーは、地面から出てきていますから、草のように思えますが、やがて、木化してカーキ色のようになってきます。そして、近隣の木々に絡みついて、絞め上げていきます。

蔓性植物の生存戦略

蔓性(つるせい)植物の生存戦略は、不思議です。自立的ではありませんが、生存能力は高そうです。地面から出てきたときは、蔓は依存先を求めて、絡みつく木を求めて、成長して螺旋的に幹に巻きつき、この時期になると、蔓は緑のままの、木化していなくとも、手で引きちぎるのは難しいです。放っておくと、樹木の側面を覆い、やがてはてっぺんの樹冠を占領してしまいます。依存的ではありつつも、したたかに生き延びていきそうです。

地面から出てきた蔓は、ハサミで切ってしまえば、しんなりとしてきて枯れていくので、その点は管理しやすいのですが、根のネットワークを広げているので、毎年のように新たな蔓がそこかしこと出てきます。というわけで、1年に数回は刈っていますね。

こんな感じで管理人にとっては、刈る対象のフジですが、多くの日本の人々には好かれている木とも言えるかもしれません。そこらへんのことの資料がまとまりましたら、改めてフジについて書いてみようかと思います。ということで、今日はここらへんで。ごきげんよう。

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