20240511 段ボールでコンポストをつくることを考えてみる

SDGs考
ハラの森の回転式コンポスターは、生ゴミと庭の土とを混合させている

はじめに

ハラの森のコンポスターは加工した金属ペール缶で、生ごみを投入し、回転させて生ごみを分解する、酸素が好きなバクテリアに活躍してもらうスタイル、好気性バクテリアによる分解に依拠した方式です。前回の記事で、段ボールを利用した名古屋市のコンポストの作成例を紹介しました*1。この事例に筆者の関心が惹かれたのは、好気性バクテリアを活用しているからです。今回は、段ボールコンポスターを考察する機会としたいと思います。

*1「段ボールコンポストによる堆肥の作り方・使い方」

名古屋市:段ボールコンポストによる堆肥の作り方・使い方(暮らしの情報)
段ボールコンポストによる堆肥の作り方及び使い方を紹介します。

段ボールでの生ごみ処理の流れ

日々の生ごみ処理は、以下のような流れになります。

  • 1) 基材にスコップで穴を掘って初回の生ごみを入れる
  • 2) 翌日、新たな生ごみを入れる前に前日にごみを入れた箇所をよく掻き回す
  • 3) 穴を掘って生ごみを入れる
  • 4) 周囲の基材をごみに被せる
  • 5) 段ボールの蓋を閉め、カバーを被せる
  • 一日あたりの生ごみの排出量にもよりますが、500〜800gの生ごみ投入を3ヶ月し続けると、基材が分解機能を失うと映像の中で解説されています。

    生ごみを処理しようと基材を掘り返し、前に埋めた生ごみの分解が鈍ってきた、生ごみの原形が崩れないようになってきたら、その基材は最終局面にあり、ごみを投入するのを止めて、熟成させる段階になります。もう生ごみを処理する機能に関してはお役御免、堆肥として機能させるために熟成の段階になります。

    熟成段階

    段ボールコンポストを始めて3ヶ月ほど経過し、生ごみの分解度合いが弱くなってきたら、熟成段階に入ったということです。そうしたら次のようにしますー1週間に1回、水を1Lを投入、そしてスコップで掻き回す。これを一定期間繰り返します。目安は以下の通り。

    • 夏:3週間
    • 冬:1ヶ月以上

    水を投入して掻き回すことを、上記の期間繰り返せば、未分解であった生ごみが原形を失い熟成完了となり、堆肥としての利用が可能になるということです。堆肥としての利用法は参照しているサイトをぜひ御覧ください*2。堆肥だけをプランターに入れて苗を植えるなんてことはしないでくださいよ。おそらく苗が枯れちゃいます。

    *2「段ボールコンポストによる生ごみ堆肥づくりにチャレンジ!」

    基材は黒土ではNGか?

    前回と今回、引用・参照させてもらっている名古屋市で推奨するコンポスト作成では、基材ー①もみ殻くん炭、②ヤシ殻チップーを土台とし、好気性のバクテリアを利活用して生ごみを分解させる方法です。であるので、酸素を基材に送り込み必要があります。スコップで掻き回し、穴を掘って生ごみを追加投入して、基材を被せるということを日々繰り返すことで、基材内の微生物は酸素を得られるというわけです。

    基材の特徴は、①も②も多孔質で、殻に穴があることで、基材は空気が入りやすい構造になっています。

    基材:①もみ殻くん炭、②ヤシ殻チップは、市中で購入すると、それなりに費用が掛かり、¥1,500/10L ぐらいの価格です。ヤシ殻チップはアマゾンで買うこともできます。トカゲやカメを飼育するときの床材として、あるいはカブト虫の飼育にも利用されているようです。

    筆者は、段ボールコンポストを試してみようと、上記のような状況を調べているうちに、紹介されている基材を購入は必須であろうか?ハラの森の黒土で代用はできないのか?という疑問を持ちました。

    その疑問は、「基材は黒土ではNGか?」・・・。NGであるようです。

    理由としては、黒土は保水性が高く通気性がよくない。しかし、黒土は作物の栽培には好適で保水性があって栄養価が高い。植物の葉や根が長い年月を経て分解した物質で構成されていて、土中は団粒構造となっているからだという*3。団粒構造とは、端的に、団子のように土が塊となっていて、土中に隙間ができるということです。

    生ごみ分解に適しているように思えませんか? すばらしいのではないか? が、生ごみを分解するには不適ということになりそうです。実際、コンポスターのペール缶の中に黒土を入れていますが、土は塊状でなくバラバラとなっている。そして生ごみの水分も吸収してしまっている。よろしくない状態なのだろうか? 今月から黒土を多めに投入しているので、実態そして結果を、追って報告してみたいと思います。

    一般に黒土は、保水性が高く通気性がよくないということです。上記で紹介した基材とは対照的で、多孔質ではないのです。結果、酸素が土中に乏しくなるので、嫌気性バクテリアが好む環境となるということでしょうか。ここらへんは、筆者は学びを深める必要があることを白状しておきます。

    *3 黒土を作物栽培にどう利用するのか解説している。
    「黒土(くろつち)とは? |特徴や園芸での使い方などを紹介します」、となりのカインズさん、2022/6/15

    黒土(くろつち)とは? |特徴や園芸での使い方などを紹介します | となりのカインズさん
    畑やガーデニングで広く使われている「黒土(くろつち)」の活用法を紹介します。保水性と保肥力に優れ、花や作物を育てる土ですが、効果的に使うには正しい知識が必要です。そこで、黒土の特徴や使い方、注意点、黒土と混ぜて使う土などについて解説していきます。

    ということであるならば、基材を購入するか。

    段ボールコンポストの一つの型を学ぶべく、基材を購入してみますか。出費は学習料と考えましょう。ということで、実際に実践してみたらご報告します。今回はこれぐらいにして、ごきげんよう。

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