はじめに
ハラの森のコンポスターは加工した金属ペール缶で、生ごみを投入し、回転させて生ごみを分解する、酸素が好きなバクテリアに活躍してもらうスタイル、好気性バクテリアによる分解に依拠した方式です。前回の記事で、段ボールを利用した名古屋市のコンポストの作成例を紹介しました*1。この事例に筆者の関心が惹かれたのは、好気性バクテリアを活用しているからです。今回は、段ボールコンポスターを考察する機会としたいと思います。
*1「段ボールコンポストによる堆肥の作り方・使い方」
段ボールでの生ごみ処理の流れ
日々の生ごみ処理は、以下のような流れになります。
一日あたりの生ごみの排出量にもよりますが、500〜800gの生ごみ投入を3ヶ月し続けると、基材が分解機能を失うと映像の中で解説されています。
生ごみを処理しようと基材を掘り返し、前に埋めた生ごみの分解が鈍ってきた、生ごみの原形が崩れないようになってきたら、その基材は最終局面にあり、ごみを投入するのを止めて、熟成させる段階になります。もう生ごみを処理する機能に関してはお役御免、堆肥として機能させるために熟成の段階になります。
熟成段階
段ボールコンポストを始めて3ヶ月ほど経過し、生ごみの分解度合いが弱くなってきたら、熟成段階に入ったということです。そうしたら次のようにしますー1週間に1回、水を1Lを投入、そしてスコップで掻き回す。これを一定期間繰り返します。目安は以下の通り。
- 夏:3週間
- 冬:1ヶ月以上
水を投入して掻き回すことを、上記の期間繰り返せば、未分解であった生ごみが原形を失い熟成完了となり、堆肥としての利用が可能になるということです。堆肥としての利用法は参照しているサイトをぜひ御覧ください*2。堆肥だけをプランターに入れて苗を植えるなんてことはしないでくださいよ。おそらく苗が枯れちゃいます。
*2「段ボールコンポストによる生ごみ堆肥づくりにチャレンジ!」
基材は黒土ではNGか?
前回と今回、引用・参照させてもらっている名古屋市で推奨するコンポスト作成では、基材ー①もみ殻くん炭、②ヤシ殻チップーを土台とし、好気性のバクテリアを利活用して生ごみを分解させる方法です。であるので、酸素を基材に送り込み必要があります。スコップで掻き回し、穴を掘って生ごみを追加投入して、基材を被せるということを日々繰り返すことで、基材内の微生物は酸素を得られるというわけです。
基材の特徴は、①も②も多孔質で、殻に穴があることで、基材は空気が入りやすい構造になっています。
基材:①もみ殻くん炭、②ヤシ殻チップは、市中で購入すると、それなりに費用が掛かり、¥1,500/10L ぐらいの価格です。ヤシ殻チップはアマゾンで買うこともできます。トカゲやカメを飼育するときの床材として、あるいはカブト虫の飼育にも利用されているようです。
筆者は、段ボールコンポストを試してみようと、上記のような状況を調べているうちに、紹介されている基材を購入は必須であろうか?ハラの森の黒土で代用はできないのか?という疑問を持ちました。
その疑問は、「基材は黒土ではNGか?」・・・。NGであるようです。
理由としては、黒土は保水性が高く通気性がよくない。しかし、黒土は作物の栽培には好適で保水性があって栄養価が高い。植物の葉や根が長い年月を経て分解した物質で構成されていて、土中は団粒構造となっているからだという*3。団粒構造とは、端的に、団子のように土が塊となっていて、土中に隙間ができるということです。
生ごみ分解に適しているように思えませんか? すばらしいのではないか? が、生ごみを分解するには不適ということになりそうです。実際、コンポスターのペール缶の中に黒土を入れていますが、土は塊状でなくバラバラとなっている。そして生ごみの水分も吸収してしまっている。よろしくない状態なのだろうか? 今月から黒土を多めに投入しているので、実態そして結果を、追って報告してみたいと思います。
一般に黒土は、保水性が高く通気性がよくないということです。上記で紹介した基材とは対照的で、多孔質ではないのです。結果、酸素が土中に乏しくなるので、嫌気性バクテリアが好む環境となるということでしょうか。ここらへんは、筆者は学びを深める必要があることを白状しておきます。
*3 黒土を作物栽培にどう利用するのか解説している。
「黒土(くろつち)とは? |特徴や園芸での使い方などを紹介します」、となりのカインズさん、2022/6/15
ということであるならば、基材を購入するか。
段ボールコンポストの一つの型を学ぶべく、基材を購入してみますか。出費は学習料と考えましょう。ということで、実際に実践してみたらご報告します。今回はこれぐらいにして、ごきげんよう。
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