反省
先日の記事で、「雑草は好きではない」、「高木が林立する森林の小径を歩くのが好き」、といったことを書きました。
後日、ひどいこと、失礼なこと、書いているなと反省しました。雑草に癒やされていることもあるのに、全くもって身勝手極まりない・・・。
それに気づかされたのは、庭に咲いていた花を後日見た時です。小さく、きれいで、清楚、気持ちいい花です。筆者は、これを雑草と捉えていましたが、ちゃんと名前があります。人間が分類上、名前を付けたのでしょうけれども。こうしたことを考えていて、「雑草という名の草はない」という言葉を思い出しました。そう、牧野富太郎氏の言葉です。さすがです。植物に対する心構えが愛に満ちています。
管理人・筆者の雑草評の身勝手さには、ご都合主義ということが根本にあるのに気がつきました。背丈の低い雑草で、簡単に引き抜けるようなら、それほど邪魔にはならないが、人間の腰高以上に育つ植物は、空間を圧迫してくることもあり、疎ましく捉えているのだと思います。雨上がりの晴れた日の、雑草の勢いをつけた様には圧倒されます。こうした感覚になると、「草刈りしないとなぁ、難儀やなぁ」と感じ、雑草を恨めしく眺めているということなのでしょう。つまり、手間がかかる存在になると、嫌いになる。本当に身勝手ですね!
しかし、よくよく考えてみると、雑草がないと困ることに気がつきました。例えば、雑草を短く刈り込み地面が見えるほどになって、日照りが続いて土が乾燥し、歩けば土埃が上がる。まして風が強く吹くと、洗濯物を外に干せなくなったり、家の中が埃っぽくなって困ってしまいます。
また、梅雨明け間近の時分や、台風の接近で数日間雨降りが続いたりすると、地すべりのニュースが流れてくることもあります。山腹や道路脇の法面に雑草や灌木があると、保水効果に加えて表土の流失を防いでくれそうです。土砂の流下の程度を和らげてくれる効果には、私たち人間は感謝しなくてはなりません。
雑草と言っていいのか判りませんが、河川敷に繁茂している葦や、河川敷以外にも至る所で見られるすすきに関しては、茅葺き屋根の素材となるわけですし、葦については、よしずの素材でもあります。
改めて思うに、雑草が存在してくれなければ困ってしまいますね。道路脇の法面をコンクリートで補強するにしても所々というのが現実的でしょう。そもそもコンクリートを多用するのは、この先可能なのでしょうか。ダム建設のためもあり、土砂が下流域に及ばず、海岸沖にテトラポットで沿岸の浸蝕防止をしているぐらいなので、砂や石の入手もこの先困難になってこないのか疑問です。
さらに、私たちが食する野菜は、元は雑草だったわけで、食すのに適当な草や樹木の果実を、長い年月をかけて品種改良してきた、人類と植物との長い歴史があります。ということは、雑草の中にも次期の食材となりうる種が存在していると言えそうです。
雑草の手入れは楽 !?
本業としてでなくとも家庭菜園などを通じて、農作業の経験がある方であれば、野菜栽培の手間がかかることを理解しているはずです。不織布で覆ったり、ビニルで畝をカバーしたり、芸が込んだことをいろいろとしてますよね。
考えてみてください。これまで述べたように、雑草の存在は、人間の日々の生活に益する役割を果たしてくれていることが判ります。人間にとって不可欠な存在です。加えて、雑草は、人間の生活空間に存在し、空間演出をしてくれています。人が「緑のある風景が好き」と言うことは、雑草の存在を好ましく思っていることになります。実際、繁殖力が強すぎる種で、駆除する対象であるとしても、遠方から見れば、美しい草原のように見えるでしょう。人間に癒やしの効果を与えてくれていますね。
野菜の栽培に比べたら、空間演出をしてくれている雑草の草刈りは楽じゃありませんか? 刈り込んで、その場に放っておくだけでも作業完了とすることもできるのですから。それだけで空間を演出できるのです。誰でも空間デザイナーになることができるということでもあります。
原因と結果が判りやすい
管理人・筆者は、がんばることが苦手であるので、「今日の草刈りは30分だけ」として行うことがあります。繁茂の激しい一角だけを行おう、と30分だけ作業するわけです。これが、結構効果ありまして、空間の圧迫感が薄まる感があって、次はこっちを刈ろうと、作業に前向きになれるのです。30分だけしか作業していないのですが、30分の達成感があるわけです。インプットした分だけ、清々しさというアウトプットが得られるわけです。原因と結果が明確です。語学の学習しても、インプットの効果をこれほどまでに感じられることはないでしょう。雑草とのやり取りは奥が深そうです。まさに修行の一つとでも言えましょうか。
というわけで、筆者自身を草刈りに後ろ向きな姿勢の対策として、雑草を考える文となりました。手前勝手な側面ばかりであったらごめんなさい。明日は、草刈りをしようと思います。ごきげんよう。
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