SDGsの概念が登場した経緯を振り返ってみる

SDGs考

SDGsの採択は2015年。その前は?

SDGs は、国際連合(国連)が2000年から2015年まで掲げた解決すべき世界的な政治課題、Millennium Development Goals (MDGs) を継承する理念です。

MDGsの目標からSDGsへ

日本では、このMDGsは「ミレニアム開発目標」と訳されていました。MDGsの目標とは、人類社会の下記にあるような世界的な諸課題を解決することでした*1。

  1. 極度の貧困と飢餓の撲滅
  2. 普遍的な初等教育の達成
  3. ジェンダー平等の推進と女性の地位向上
  4. 幼児死亡率の引き下げ
  5. 妊産婦の健康状態の改善
  6. HIV(エイズ)、マラリア、その他の疫病の蔓延防止
  7. 環境の持続可能性を確保
  8. 開発のためのグローバル・パートナーシップの構築

*1 「ミレニアム開発目標(MDGs)の目標とターゲット」、国際連合広報センター
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/global_action/mdgs/  

といった項目でしたが、先進国は対象外となっていて、不平等の根本的な原因を改善できないとして、MDGsの目標の範囲を広げて、世界の今日的問題に取組み、SDGsに引き継ぐ形で、2015年から2030年までに目標達成を実現させていくことを国連加盟国が表明したということです。

「持続可能な開発」という認識は、1987年には登場していた

1983年に国連総会が設置した「環境と開発に関する世界委員会」という組織が発表した1987年の報告書には、「持続可能な開発」の考えが示されていました。地球の資源配分の極度の偏りに注目し、問題を提起したのです。この背景としては、WHO(世界保健機関)が中心となった天然痘撲滅運動は、1億ドルの費用がかかり、しかも10年の時間が費やされたにも関わらず、当時の小型空対空ミサイル1基の開発費に比べれば少額ということでした*2。いかに、軍事費への地球の資源割当が過大であるかを理解できるでしょう。

*2 アレキサンダー・キング、ベルトラン・シュナイダー 『第一次世界革命』、訳者:田草川弘、p.54、1992年、朝日新聞社

SDGsで目指す政治的課題は、1987年で、すでに世界的に周知の事象であったことが判りますが、参考にした前掲書の著者は、ローマクラブの議長を務めた御仁たちです。ローマクラブは、1968年に設立され、自由な視点で世界の諸問題を討議し、処方箋のヒントを報告、発表している有識者からなる会議です。この初回の会議のテーマは「人類の危機」で、その会議の報告として発表したのが1973年の『成長の限界』です。この本は、現在、70歳前後の日本の知識人の方々が、戦後の日本と世界の経済発展に翳りの到来を語る際に話題になっていたのを聞いたことがあります。

「持続可能な開発」に抑える必要があると感じるほど、凄まじく地球から資源を収奪していることに1970年頃にはすでに意識があったのです。しかし、現在に至るまで効力ある対策を施せていないということです。

便利であると、つい考えなくなる

MDGsの目標のいくつかは成果を見せていると言えそうです。幼児の死亡者数は減少を見せ、AIDS患者への処置を広げられたこと、結核による死を減じることができたことなどから、約2100万人の命を救済できたとのことです。サハラ砂漠以南のアフリカ諸国での成果が顕著です*3。人間社会の福祉の面では改善が見られています。SDGsは、2030年まで7年を切っていますが、どのくらい成果を広げていけるでしょうか?

*3 https://www.theguardian.com/global-development-professionals-network/2017/mar/30/how-successful-were-the-millennium-development-goals

日々の暮らしの中で、技術革新の進展に伴い、私たちの生活が快適になりました。日本においては、薪を焚いていた風呂の湯を、現在は浴室のスイッチ一つで沸かすことができますし、湯温の調整までできてしまいます。そして、シャワーでお湯を多分に使うこともできてしまいます。この便利さは享受してもいいのですが、使いすぎは問題です。便利さが当然のような日常生活では、資源のことについて考えません。考えないと問題解決に取り組みそうもありません。が、好ましくありませんが、今後この便利さを考えさせられる状況になる可能性があります。異常気象的な事象が起こりがちになり、便利さが制限されることに遭遇することになるかもしれません。2023年のこの夏に、中国やアメリカで熱波に襲われています。

じゃ、どうすればいいのだろう?

ある人が、「一人ひとりが行動を変えることで、変化をつくり出していくことが必要だ」、それに対して聞き手が「そんなの言うのは簡単だよ」、といったやり取りが聞かれそうです。この二人はどちらも間違っていません、その通りです。「じゃぁ、どうすりゃいいんだよ」という疑問がまたまた投げかけられそうです。

結局のところ、SDGsで提起されているような問題群について目標達成するには、個々人が、問題について認識を深め行動を変えていくこと、次に、同じ問題について考え行動する人たちと連帯すること、そして解決法を見出し構築すること、このように前掲『第一次革命』の著者、アレキサンダー・キングとベルトラン・シュナイダーは述べています*4。

*4 前掲書、p.179-192

私たちは、一人で行動を起こす、そこからしか何事も始まりません。このような基本的なことを、どこまで自分の中に落とし込んで考えていけるのか、ということです。ということで、ハラの森の空間を創出を進めて行きたく思います。ごきげんよう。

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